デッドライン

デッドライン

デッドライン

私の尊敬するトム・デマルコ先生の本。
ある日主人公でソフトウェア開発管理者であるウェブスター・トムキンスはモロビア共和国に拉致されてしまう。国家大総統はモロビアを数年でソフトウェア大国にするためウェブスターの力を貸して欲しいと頼む。彼に課せられた使命は二つ。700日以内に市販の競合ソフトより優れたソフトを開発し、出荷すること。もう一つは世界屈指のソフトウェア開発技術のノウハウを習得すること。そして彼は国家という巨大企業のソフトウェア開発最高責任者となる。果たして彼は使命―納期というデッドラインを守ることが出来るのか。
デマルコ先生の他の著書と比べると、この本は物語という形式を取っている点で特に異質と言える。しかし内容はこれまでの本の集大成と言うべきもの。主人公はいくつも問題にぶち当たり、それを解決するたびにノウハウを日記に記す。そのため、物語も面白いが論点もきちんとまとまっているのがすばらしい。また、プロジェクト管理者の体験記のような側面も持っているので共感を持ちつつフィクションを楽しめる。
ソフトウェア開発に関わる人には是非読んでもらいたい。またソフトウェア開発でなくとも、リーダーやマネージャーとしてチームを指揮する人にもお勧めできる。文句なしの、★5つ。