NARUTO的「人月の神話」論

ジャンプについてツッコミを入れるのは本当に久しぶり。毎週読んでますよ。まぁ漫画なので、中学生がオーラを放ったり、試合中に照明が落ちてきても冷静に続行したり、かってんぐわぁーとか意味不明なことを叫んでも華麗にスルーしていました。しかし、今週のNARUTOはどうにもスルーできない要素を含んでいたので、元ソフトウェア技術者として意見を突っ込ませて頂きます。
ネタバレがあるので読みたい方のみ続きをどうぞ。
新術の開発のためにカカシが提案した修行法、それは影分身の術を使うこと。分身すると分身側も本体側もそれぞれ経験を積むことができるので、修行の速度が人数の分だけ増すという論理。一人で二十年かかる修行も、1000人なら約1週間で出来てしまうという説明に、ナルト納得しています。しかしこの論理、まったくの落とし穴です。ソフトウェア開発者的に言うならば、ここに「人月の神話」が存在しているのです。
人月の神話を説明します。ソフトウェア業界ではよくプロジェクトの開発規模を「人数×期間(月)=人月」という形式で表します。しかしよく陥りがちな考え方で、「人月=人数×期間」と考え、人数を多く投入して期間を短縮しようとの発想になります。実際は方程式を逆には出来ず、人数をかけすぎると統率にコストがかかり、返って期間をのばす結果になるのです。また、人数をかければ効率が上がるというのは、大きな問題を分解しそれぞれ別個に扱える場合のみです。これについては後に説明します。
再びNARUTOに話を戻すと、人数を増やしたところで効率はほとんど上がらないでしょう。むしろ分身に使うパワーの分だけ個々の効率は低下すると思われます。それでも、例えば複数の術を覚えるというならまだ救いがあります。それぞれが別の修行を行う→別個の問題として扱える→同時並行で修行を行える、となるからです。しかし今回のケース、一つの術を極めると言っています。つまりおそらく第一段階→第二段階→…という形になるでしょう。この場合、第一段階と第二段階を平行して進めることは出来ないので人数をかけられません。
このケースで人数をかけることによるメリットは、試行錯誤による偶発的な術の完成を目指しているならある程度の恩恵を得ることが出来ること。0.001%を1000人で行えば1%になるからです。←合ってるよなぁ?しかしそんな行き当たりばったりな修行ってアリなのかなぁって思います。
とにかく、私が一番いいたいこと。人数を増やしても、期間は短縮できない!以上!!