若者はなぜ3年で辞めるのか?

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)

実は私もコレに該当してしまうので、タイトルを見て即買いしたのですが。。。この本を読んでいるとなんだか暗澹たる気分になってしまいます。
まずタイトルにもあるとおり、なぜ若者は3年で辞めるのか?という問の答えは「年功序列が崩壊したから」。改めて言われてみると当たり前の話で、世の中の流れは年功序列成果主義となり終身雇用も終わりつつあるのだから3年で辞めたところで何の問題もないのです。
むしろ真っ先に「忍耐力がない」「わがまま」という答えが出るなら、今までの固定概念にいかに縛られているかが分かります。「忍耐力がない」というのは、定年まで一から十まで面倒を見てくれなくなった会社に対し無理に忍耐強くあり続ける必要はないというだけ。「わがまま」というのも、なんでもやります的な若者を一から育てる時代ではなく、ハッキリとした意志を持った向上心ある若者を即戦力として積極的に採用しているのだからわがままな新入社員が多いのも当たり前。
まぁ、本当の意味で年功序列が完全に崩壊し、成果主義が機能しているというならここまでで本が終わってしまうのですが、むしろこの本が問題にしているのはその年功序列がいびつな形で部分崩壊しているということ。
年功序列の廃止は「年齢が上がるにつれて給料が増加する保証がない」という意味になる訳ですが、どうにもうまくいっていないのです。今までは若いときの給料が少なくてもそのうち上がるから我慢しようというのが前提でした。しかし今は、将来給料が上がる見込みもないのに安いままという訳なのです。それと裏腹に、給料を下げたり降格はしないという不文律があるので年配者の給料は据え置き。人件費というパイは固定なので、自然と若者にしわ寄せが来ている格好なのです。そのくせ会社は新人採用を控えたりしているので、3年目くらいの中堅に新人向け〜中堅向けの膨大な仕事量を一手に片づけなければならない状況が生まれたりして、これでこき使われていると思わない方がおかしいのです。
若者が3年で辞めることは成果主義の社会では決して悪いことではないが、明らかに若者が居づらいという現状はなんとかしなければならない、という警鐘の本です。既得権益にメスを入れることは難しいというのは分かるのですが、経営者の方には是非若者の居心地の良い会社を作ってもらいたいものです。