ステライト肉盛りロール

久しぶりのお仕事ネタ。

とりあえずウチでは今日、一大案件が片づいた感じです。まぁ私の担当じゃないですけど。
でかいロールに「ステライト」という特殊な金属を肉盛り(表面に溶接すること)し、表面をR形状つきの滑らかな曲線で加工するというもの。通常の材料の上にステライトでコーティングすることで強度up、対摩擦性up、高熱時強度upを図るのです。実際使われるときは赤く焼けた鉄を扱う部分なので高温時の強度が重要なのだとか。
写真で言うと、金属の光沢がある部分が今回肉盛りをした部分。少し遠目なので分かりづらいですが、素手で触っても分かるくらい滑らかでつるつるしてます。周りの部分が黒いのは、以前使っていた現物に補修という形で肉盛りをしたため。
大きさで言えば2mくらい?だったかな。うちで扱うものとしては中〜やや大きい方ですが、それにしてもベテランが2週間以上かかった代物。なぜこれまでに大変だったかというと、ステライトが非常に硬い金属のため削るのに大変だったこと。普通の刃物ではすぐ折れるので、非常に硬いバイトチップを取り寄せ、ゆっくりじっくり手押しで削ったそうです。それでも無理に力を入れるとすぐ刃物がダメになるくらい硬かったらしいです。旋盤も途中何度かイカレかけたくらい無理な力が掛かっていたとか。
もうひとつ難しかった要因は、肉盛りした金属が冷えたときに起こる割れ。これは削らないと分からないので、削ってみる→割れ部分を再肉盛り→削る→再肉盛りと溶接部隊と機械部隊の間を何往復もしたらしい。最後に滑らかさはヤスリで削って出したらしいですが、これもヤスリのもちが悪くて苦労したらしいです。
で最後に納品の際に、普通はやらないですがデジカメで写真を撮って現物のチェック用としました。こんなすごい技術を持つベテランの方がいても、デジカメとかデジタル関係はウチでは私しか使えないので私の仕事です。。。これも技術といっていいのか?で、せっかくデータがあるので日記に載せることに。発注先とかは伏せるのでいいよなたぶん。
いつかこういうものを作れる技術者になりたいものです。