本当はヤバくない日本経済

本当はヤバくない日本経済 破綻を望む面妖な人々

本当はヤバくない日本経済 破綻を望む面妖な人々

サブプライムローン問題に端を発した世界的な大不況がテレビや各種マスコミで騒がれている中、あえて日本経済はやばくないとの論を展開した本。この本で語っているのは、もちろんこの大不況など日本には全く影響しないという話ではない。ただ、日本経済は他国に比べて損失は軽微で、この混乱期にうまく立ち回ればかなり有利な立場に立てるという話。
本の冒頭ではこう書かれている。「外需依存国家である日本は、円高の影響を受け輸出企業が壊滅し、日本経済は破綻する」というマスコミの論調は二重どころか三重四重に間違っている。つまり「日本は外需に依存していない内需国で、輸出企業は壊滅的な影響は受けず、日本経済は破綻しない」のである。その根拠をそれぞれデータを用いて明示してあって、またそれぞれが確かに納得できる。
この本の大きな一つのテーマは、マスコミが日本経済破綻を過剰に煽り立てていることを読者に気づかせることにある。マスコミは「円が上がると輸出企業が壊滅し日本経済は破綻する」「円が下がると、投資が流出し日本経済は破綻する」「物価がが上がると、インフレで破綻する」「物価が下がると、デフレで破綻する」と、ダブルスタンダードのオンパレードでとにかく結論は「日本経済は破綻する」になってしまう。筆者は円高にも円安にもそれぞれメリットデメリットがあるので、デメリットばかりを見ずに総合的に見る必要があると述べている。この本自体が逆に煽っているのでは?という考えも、中身を読んだら全くそんなことはないと思える内容。
この本の著者である三橋さんという方は、2chでは東アジアニュース板+や極東板を中心に優れた経済論を展開しているある意味有名人。だからこの本を買ったというきっかけもあったけど、それを抜きにしても分かりやすい良書であると思う。経済論、マスコミ論の両側からの語り口が私は気に入りました。オススメ。