「書ける人」になるブログ文章教室

アメーバブックスの編集長である著者がブログの書き方について論じた本。文章教室、というだけあって文を書くテクニックも載っているが、主眼はそこではない。ブログで特に問題となる「何を書くのか」「なぜ書くのか」というところに深く切り込んでいて、その先で「どのように書くか」について述べている。
土佐日記」以降、日本では日記文学というジャンルが存在する。その連綿と続く系譜の先に現在のブログがあり、突き詰めて言えばブログは文学になり得ると著者は述べています。確かに自分のブログをもう少し進歩させたいと思うなら、文学というものを意識すべきなのかもしれないと思いました。もっとも、私の希望は単にブログのレベルの向上であって、将来文学家でも目指そうなんて思わないのですが。
私がなるほどと思ったのは、編集者の存在についての話。作家というのは必ず担当の編集者がいて、書籍になる前に厳しいチェックを入れるのです。誤字脱字、文法上のチェックはもちろん、不要な部分の削除や追記して内容を膨らませたほうがよい箇所の指摘。それに何を書くか?という最初のアイデアや、読者の視点で出来上がった作品の感想を作者に伝えるという仕事もある。これによって、その文章は世に出る前により良いものに出来上がるのです。しかし、ブログの場合は編集者の仕事も作者がこなさなければならない。だから自分が編集者になったつもりで厳しくチェックを入れる必要があるんだな、と。このチェックを入れる基準を決めるためにも文学の世界に一歩踏み込んで、よい文章とは何かを自分なりに見極めることも必要なのでしょうね。
言っていることはいいことなのですが、「文章教室」というよりは「文学論」や「ブログ論」という話でした。★3つ。