愛の流刑地(劇場映画)

恋愛小説家の村尾菊治(豊川悦司)は愛人である冬香(寺島しのぶ)との性行為中、彼女の「私を愛しているなら、殺して」との懇願を聞き入れ、首を絞めて殺してしまう。なぜ彼女は殺して欲しかったのか。なぜ彼はそれに応え最愛の人を殺さなければならなかったか。取り調べや裁判の過程で、二人の妖しくも濃密な恋愛の姿が明らかになる―。
R15指定ということでそういう場面が出てくるとは思っていましたが、いきなり初めからでてきて驚きました。途中何度もかなりきわどいシーンがありましたが、全体を通していやらしかったり下品だったりする印象は全く無かったです。すごく綺麗でした。
その恋のゴールがお互いの破滅であると分かっていながら、二人は行くところまで行ってしまう。「もう死んでもいいほど幸せ」と口で言ってみても、「じゃああなたは私のために死ねる?」と問われれば普通Yesと答えられるものじゃない。しかし実際にその選択をしてしまうほどの狂気に近い愛に惹かれてしまうのは何故?
豊川悦司の演技ももちろん良かったけど、寺島しのぶがさらに良かった。彼女の演技無しにこの映画はなかっただろうなと。寺島しのぶってNHK連ドラの純情きらりで笛子姉さん役の印象があったけど、この映画でも最初それに近い印象。地味で普通な女だけど一途で思いこむと何をするか分からない、みたいな。それがだんだん大胆に、普通でなくなっていくにつれて、妖しい艶っぽさみたいなのが出てくるのがヤバメです。
たぶん冬香のような、30代既婚女性あたりに特にオススメです。見たことによってアブナイ恋に走られても私は責任は持てませんが。分類では★4つだけど、実は4.5くらい。
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