NHK問題

NHK問題 (ちくま新書)

NHK問題 (ちくま新書)

「公共性」を軽々しく口にする人と、「ジャーナリズムかくあるべし」と説教をたれる人はどうにも信用ならないと思っていたが、その両方を揃えて口にする組織がある。それがNHKだ。この書き出しから始まるこの本ではNHKの問題点や公共性とは何かについて論じている。
この本ではとてもマジメに、多角的な観点からNHKの問題に切り味鋭くツッコミを入れています。それはそれで良いのですが、新書というジャンルで読むにはちょっと重すぎでした。ちょっとした論文を読んでいるような印象。ハードカバーの実用書みたいな感じならしっくり来るかも。この手の本で言えば「誰がテレビをつまらなくしたのか」の方が読みやすかったです。そんなわけで、私はこの本を全部は読んでいなかったりします。
「公共」という言葉に含まれる危うさみたいなものをこの本では指摘しています。そういえば、「公共事業」という言葉も公共の利益のためといいながら、その実政治家と建設業界という私的を潤すための隠れ蓑にしていたのですよね。田舎に立派な道路が出来ればそりゃ幾分かの利益とは言えるけど、ほとんど使われなかったらそれはむしろ無駄遣いという立派な害であると。NHKもそれと同じで、「皆様のため」を大義名分として受信料を無駄遣いする組織に成り下がってしまった。
しかも公共事業でさえ散々叩かれて無駄遣いは減ってきているというのに、NHKは無駄遣いを続けるために受信料の義務罰則化をさせるべく法改正させてしまうのだから、さらにたちが悪い。まぁ、良い番組もあるということで全否定できないところも公共事業とNHKは同じですね。
もうちょっと論点をハッキリさせ、サクサク読める本なら良かったと思います。★2つ。