「世界征服」は可能か？

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)

悪の組織というのは、多くの場合「世界征服」をたくらんでいたりするもの。でもチマチマと怪人を繰り出したりしたところで世界征服なんて出来るのか？そして世界を征服して結局何がしたいのか？そんなところに真面目に切り込んで論じている本です。論題と内容とのギャップに笑う本です。
例えば世界征服の目的が「世界一のお金持ちになって人民から尊敬されること」であったとする。そのために超兵器を開発し全人類を脅す、なんて話はよくあるけれど、「じゃあ最初からその超テクノロジを使って金儲けしたほうがお金持ちになる近道じゃん？」となってしまう。
人材の確保や部下の管理、裏切りへの対策、資金集め、世界征服後の後継者問題などなど、悪の組織とて正義の組織以上に大変さがついて回る。それでも世界征服をしますか？これはなかなかに深い問題だったりするのです。まぁ、世界征服なんてカッコイイからやる訳ですけれどね。
ネタ本ではあるけれど、組織論や経済論などをいつの間にか勉強させられてしまった一冊。空想科学読本シリーズを好きな人ならハマると思います。なかなかにおすすめです。