偽善エコロジー 「環境生活」が地球を破壊する

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)

環境問題、エコだリサイクルだと騒がれて久しいのですが、その環境保護活動は本当に環境改善に役立っているのか?というところを否定的な観点から論じた本。
エコ活動を具体的に一つ一つとり上げて何が問題なのかを詳しく解説している。例えば、

  • 「レジ袋をやめエコバッグを使う」→レジ袋は原油の中でもポリ袋にしかできないような他に使い道のない成分を使っているので実は原油の有効活用であり、レジ袋を無くしてもその成分は焼却処理されるだけで原油使用量は減らない。エコバッグは原油の中でも貴重な成分を使うのでますます使用量が増える。
  • 「割り箸を使わずマイ箸持参」→元々木材の端材や間伐材で出来た割り箸は木材や森林の有効活用。使い道のない間伐材は運賃を考えると山から運び出すより切ったまま放置せざるを得ず、山が荒れる原因に。
  • 「プラスチックのリサイクル」→廃棄物には水銀や鉛のような毒物が含まれるので取り除くのに膨大なコストがかかるうえ、残留毒物が含まれるかもしれないリサイクル品は用途がかなり限られる。
  • バイオエタノール」→トウモロコシなどを燃料にしているが、温暖化で人が死ぬのはダメで飢餓で人が死ぬのは構わないのか?

と、まぁいろいろ紹介されてます。とにかくリサイクルとつくものに関しては軒並みダメだと論じてます。
ではなにが本当のエコなのか?という結論は「リサイクル(再生)する→繰り返し使う」「節約する→資源を有効活用する」という考え方の転換。レジ袋はゴミ袋にして有効活用、木材の端材は割り箸に、プラスチックもペットボトルもリサイクルではなく長く使いましょう、というのが本来のエコだろうと言うわけです。
なにやら多少作者の愚痴っぽい文章が気になるけれど、読み物としては面白い内容。環境問題を肯定する方面での本ならたくさんあるだろうけど、否定的な視点が新鮮でした。まあまあお勧め。