日本人の苗字

日本人の苗字―三〇万姓の調査から見えたこと (光文社新書)

日本人の苗字―三〇万姓の調査から見えたこと (光文社新書)

日本には30万もの苗字があるのだそうです。これは世界的に見てもかなり特殊な例らしく、中国で3500、韓国では250、ヨーロッパ全部を合わせても5万に満たないのだそうです。つまり、苗字は日本の文化といえるでしょう。
苗字の多くは地名からくるのだそうです。田の中に住んでいるから「田中」、山の麓に住んでいるから「山本」、新たに井戸を掘った開拓地に住んでいるから「新井」などなど。あとは藤原家の流れをくむから藤の字を当てる者、職業をそのまま苗字にした者、明治期に戸籍を苗字をつける必要から苗字を創作した者、などなど。面白いのは、ごく最近の事例で「三都主」など、国際結婚や帰化により外国人が新たに苗字を創作する例。日本の苗字という文化は現在進行形で変化しているのです。苗字はそのまま日本のルーツを探る旅に繋がる。そんなロマンを感じさせてくれる一冊です。
この本は本当に「生活に役に立たない雑学」です。興味のある方は是非、ですが、万人にお勧めできるものでもないかなと。読んでいて面白いことは確かです。