腐女子化する世界

腐女子」とは(婦女子の誤記ではない)女性のオタク、特にボーイズラブ(男性同士の恋愛モノ)を愛好する女子のこと。最近の書店でのボーイズラブ小説売り場が増加していることや、ジャンプの腐女子向け表現の増加が気になっていた頃見つけて買った本。なぜ男性同士なのよ?というのがすごく疑問だったので。
そもそもオタクは女性の方がなりやすいらしい。好きな芸能人の出ている週刊誌は必ず買ったり、グッズをかき集めたりするコレクター気質は女性の方が強い傾向がある。男性の場合は全て集めきれば満足するが、女性の場合は飽きたらずに「外伝」や「関連商品」にまで手を伸ばす。同人誌愛好家に女性が多いのもこういう理由からだという。
ではなぜ女性オタクが今まで少なかったのか。それは腐女子たちは巧妙に隠れながら活動しているためだという。そりゃバレれば恥ずかしいですからね。また、隠れオタクたちはコミュニティを形成できないために孤立しがちになり、そしてやがてオタクをやめてしまっていた。
しかし、最近はネットがあるので同好の友人を見つけやすくなった。また雑誌や小説でBL表現にふれる機会が増えたことによって社会的な認知度も上がり、普通にBLの話題で盛り上がれるまでになったので、孤立するということも無くなった。腐女子たちが目立ち始めてきたのにはそういう背景があるらしい。
で本題。なぜ男同士の恋愛が好まれるのか?それは、感情移入できない物語だから。これが普通の男女のラブストーリーだと、どうしてもヒロインと自分とを比較してしまい、物語に没頭できない。そういったリアルな恋愛というのは現実で味わえるので、物語の中ではありえない世界というのを味わいたい。男性同士の恋愛ならば自分を投影することもなく、かつ相当ありえない設定であるという訳。コレにはなるほどーと思った。
とりあえず腐女子化している背景みたいなものは見えた一冊。ただ、後半は格差の問題や女性論みたいな真面目な内容を語っていてちょっとお堅い感じ。前半★4つ、後半★2つで平均★3つみたいな評価。