断末魔の中国―粉飾決算国家の終末

断末魔の中国―粉飾決算国家の終末 (学研新書)

断末魔の中国―粉飾決算国家の終末 (学研新書)

前々から私は中国という国は何かとヤバイと思ってはいたけれど、ここ最近の事件がニュースで取り上げられるたびにその認識が一般レベルまで浸透してきたなと思うのです。サッカー東アジア選手権での偏向ジャッジや悪質ファウル、そして毒餃子事件とマイナスイメージを与えるネタに事欠かない。
この本が出版された07年11月は毒餃子の前ですけど、中国の何が問題なのかが事細かにわかりやすく解説されてます。そして最終的に導かれる結論はタイトルにもあるように、中国の崩壊。ざっとキーワードだけ抜き出してみても…環境問題、食料汚染と食糧不足、水不足と砂漠化、格差社会個人投資家の過熱、偽札偽物の横行、汚職、エネルギー・資源の消費増加などなど。よくもまぁと言えるほど問題点が山積みなのですが、このどこから火が噴いてもおかしくない。
中国は格差がすごい。その賃金格差を利用して安い商品を作って世界に輸出してきた。経済が潤っても労働者の賃金がそれほど上がらなかったのは、国が食料を安く労働者に提供していたから。そこまではおk。今はそのサイクルが狂ってきた。中国の食料消費量が増えたため食料の確保が困難になる一方で、国内の農作物は汚染物質だらけ。労働者は食べて死ぬか、飢えて死ぬかという究極の選択。しかもその労働者がものを買うための賃金も偽札が横行。しかし働けるならまだマシで、若者は一流大学を卒業しても職がない。途方に暮れる大勢の労働者に、同じように途方に暮れた大卒で知的レベルの高いインテリ層が指導者として立ち上がったとしたら。
読み応え有り、かつ今ホットな話題を取り上げた一冊。オリンピックどころではないこの国の異常さを見ることが出来ます。お勧め。