はてな夢日記 沈黙の奴隷

言葉を失うというのは案外怖いことなのかもしれない。

私は不思議な世界に迷い込んだ。なにやら少年が黙々と作業している。廃材を集め、船を造っているようだ。少し歩くと水飲み場があり、そこには「一日一杯飲んでもよい」と書かれてある。その言葉で何故か私はここが奴隷たちの作業場であることを知った。普通の人なら水なんてどれだけ飲んでも良いはずなのに、ここでは一日一杯しか許されていないのだ。
作業場は屋外にあったが、見えない透明な壁が周りを囲っていた。壁の向こうはこちらの世界の鏡写しになっていた。これでは誰も逃げられない。
私は一人の少年にこの世界のことを尋ねた。誰かと話しているところをみつかったらまずい、というような顔をしながらも少年は話をしてくれた。ここでは主に逆らったり、へまをすると罰として一日に話せる回数が減らされてしまうのだという。既に完全に話の出来なくなった仲間もいるらしい。彼も一日に話せる回数は少ないはずだが、貴重な話す機会を使い、こうして私に教えてくれていたのだ。誰とも話せなくなるというのはとても寂しく恐ろしい、そう言って彼は再び作業に戻った。
船があればこの世界を脱出できるようだ。しかし浮かべるための水はどこにもない。